【受講者インタビュー】製造業特化データサイエンティスト育成6ヶ月コース

本研修は、製造業に特化したデータサイエンティストを育成するために、多変量解析、画像処理、時系列解析、最適化といった製造業の現場で必要とされる領域に絞って集中的に学べるコースです。

研修概要
  • コース名:DSIT
  • 期間:6ヶ月間
  • 概要:社内の実データを用いた研修題材をベースに、AI・機械学習の理論から実装力までを深める実践研修
  • 話し手:トヨタ車体株式会社 プレス化成生技部 篠田 直也さん
  • 聞き手:キカガク講師 中別府

まずは1つ実例が欲しい

中別府

まずは講座を受けた感想をお聞かせください。

事前学習動画で事前知識を入れられる点や Slack や講義内でいつでも質問できる環境は非常に良かったです。受講前、AI は何でもできるものだと思っていた節がありましたが、現実的には中でどのような処理が行われているのかなど、得意不得意があることも網羅的に知ることが出来たのが大きかったです。

篠田さん

中別府

実際に作ってみると分かる部分も多々ありますよね。一番大変だった分野はどこでしたか?
数学的な背景を理解するのは難しかったです。ただ、知らなければいけないことだとは理解できました。

あとは、PBLのラズパイしかり、外部との入出力のやりとりで、どうすればいいかわからないこともありました。ただ、チームの方に手助けしてもらった上でやっていけました。難しいことは難しかったですが、その要素も必要なことだったと思います。

篠田さん

社内での立場の変化は?

中別府

社内での立場の変化はありましたか?
社内で AI・機械学習の聞かれることが多くなりました。「こういうことはできるのか」や、「どの分析でどんな結果がでるのか」といった内容です。AI による分析をやる前の判断は、講座のおかげである程度できるようになりました。

篠田さん

中別府

周囲の方にも頼られるようになったのですね。今回の講座では複数の製造業の企業が集まりましたが、交流はいかがでしたか?
凄く良かったことだと思います。
例えば、進んでいる他社の1例を見せてもらえたのが1つと、今後の取り組みについても話を聞くことが出来たのでいろいろなヒントを得ることが出来ました。

篠田さん

AI を学ぶべき人とは?技術系?技能系?

中別府

AI を学ぶべき人はどんな人材だと思われますか?
どちらかと言えば技術系の方に学んでもらいたいです。最終的に使うのは技能系(現場)の方ですが、どういう構想でこういう結果を出したいかは生産技術側が考えるべきことが多いと思います。しかし、やはりその後使うのは現場の方なので(技能系の方にも)理解があると良いです。
ただ、弊社は保全管理が頭になって IoT を進めているので「どちらが」というわけではないと思います。保全の分野でも画像使って作業人数を減らしたいところとなどもあります。

篠田さん

中別府

社内で仲間を増やす活動はされていましたか。
現在は自分を含む 4 名の卒業生のアウトプット次第で人員を増やせるかどうかです。一例を作らないと上も納得しないところです。
社内でも AI・機械学習を使おうという流れはありますが、私の方でもこういう結果が出るからをやりたいんだという内容を納得感をもって説明しきれていない状態です。まずはアウトプットを何かしら出すところまでを今いるメンバーで力合わせてやりたいと思っています。

篠田さん

現在の社内での AI の取り組みについて

中別府

現在の社内での AI の取り組みを教えてください。
収集データは波形関係が画像よりは多いです。色々な設備にセンサを埋め込んでそれを集中管理PCに流しています。まだ機械学習までは導入されていません。遠隔で波形を取って異常があったら現地に技術者が向かったりする形です。とった波形をFFT変換掛けてその設備のどこの部分に不具合があるのかまで出せるように、保全管理が頭になって進めています。品質管理の方はまだあまり例がありません。
今後はの展開としては環境として早く整うのは成形関連のセンサなのですが、機械学習を導入するかどうかは今年は未定です。各工程の所要時間を念頭にそこが極端に長くなっていたり、もうひとつ先の関係ありそうなセンサを見て現地行って実際にどうなっているか見れるような全体のシステムのベースができればいいと思っています。

篠田さん

中別府

卒業後の活動についてはいかがですか。
弊社からは4名参加したのですが、各それぞれどういったテーマ社内での機械学習の取り組みをやるかについて報告会があります。
私としてはバンパーの成形機のデータ取りというところをテーマとしていこうと思っています。元々、センサを等をつけて不良品と紐づけるということをやろうとしているのですが、まずはしっかりデータを取得できる環境を作り、その後不良品と成形機のセンサがきっちり紐づくのか確認していこうと思っています。現在は平均などを見て波形がそれを超えたら異常アラートを出すくらいしかやれていません。

篠田さん

中別府

データ取得の環境づくりから始められているのですね。貴重なお話ありがとうございました。

AI の過度な期待 導入を阻む壁に挑む

  • 話し手:トヨタ自動車株式会社 品質管理部 奥山 学さん、小谷 公哉さん
  • 聞き手:キカガク講師 中別府

AI の過度な期待 導入を阻む壁に挑む

中別府

AI・機械学習領域は従来の考え方が適用できない難しさがあると思いますが実際に取り組まれていかがでしたか。
企画の時点で言うと、まず活動に対して 「人・モノ・金」を確保することが必要となります。そこでは費用対効果と成立性を問われますが、AI・機械学習においてはまずはデータを取らない限りそれが見えてきません。つまり始めて見ないとわからないということを、わかってもらうことから始まります。これがとても大変で、共通の理解を得ることに、時間と労力が必要となります。トップが担当者目線で共通認識を持つ、まずは学んでみよう!という姿勢の有無で、この分野の成否がだいぶ変わってくると僕らは認識しています。

小谷さん

自分たちでやり始めたばかりなので、問題は山積みです。実装するまでトラブルの連続、作った後にも保全の詳細を考えていなかったなど様々な問題が顕在化します。ルールまで含めて作らなくてはいけない辛さはありますが、すべて自分たちの手で作り上げるのでやりがいがあります。職場へのAI・機械学習の理解浸透させることも苦労の一つになります。

奥山さん

今後、本講座受講を考えている人へメッセージ

中別府

今後、本講座受講を考えている人へメッセージがあればお聞かせください。
工程設備に困りごとを抱えているが、 限界を感じている方々には、ぜひともおすすめをしたいです。AI・ 機械学習の技術はもちろん万能ではありませんが、いままでの会社生活の中でも1番インパクトがあるものですし、可能性を秘めているものだと思っています。
また一見難しそうに見えますが、ちょっとした努力で、自分たちで手の内にするということができる!と、感じることができると思います。ぜひとも体験してください。

小谷さん

ベンチャー企業などは意見が通りやすいですが、規模が大きくなるにつれ声が通りにくくなりがちです。その状態から新しい業務へ軌道修正することに時間が割かれ残念なこともあります。理解活動や環境整備などを省いて、機械学習自体の勉強を詰めれば実質1,2か月くらい(ちょっとですよね?)でそこそこのレベルになると思います。是非、機械学習に恐れを抱かずにチャレンジして頂きたいと思います。

奥山さん

中別府

まだまだ未知の領域だからこそ可能性が広がっているということですね!本日は貴重なお話ありがとうございました。