DX 推進における AI の位置づけを解説!AI 導入のポイントまとめ

本記事はこんな方にオススメです
  • DX 推進について調べたいが、AI との関係がよくわからない方
  • 流行のワード「DX」について少しでも理解を深めたい方
  • DX や AI の学習を始めたての方

こんにちは、キカガク講師の大庭@oba_kikagakuです!

ここ最近、ご時世的な影響もありながら、特に盛り上がっている「DX」というワード。

DX の導入についての記事や指針、その名前を関する事業などが多数生まれています。言葉の定義に関しても、様々な解釈があり、マジックワードとしてひとり歩きしている印象すらあります。

さらにこの DX に触れるにあたって、必ずセットで語られる「AI」にも、決まった定義はありません。

今回は、そんな曖昧な 2 つのワードの関係性を明らかにしてみましょう!
※意見が分かれる部分ですので、あくまで一解釈として捉えていただければと思います。

DX とは何をすることか

how DX

まず、DX とは何をすることなのかを見ていきましょう。

冒頭でお伝えしたように、様々な解釈やプロセスがあり、一概にこう、というものはありません。

参考までに、経済産業省が提唱する定義を掲載します。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、
顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用 : 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

誤解を恐れずに噛み砕くと下記のように言えます。

データとテクノロジーを活用し、ビジネスモデルを始めとした様々な領域で変革を起こして、自社の競争優位性を高めること

このような観点から、私達が講座などでお伝えしている内容をピックアップして説明します。

DX における 3 つのフェーズ

DX にはいくつかのフェーズがあると考えています。

DX Step

Phase.1 はデジタル化とあります。こちらは、いわゆる「紙からの脱却」だと考えてください。

こちらは DX という言葉が流行する前から取り組まれている企業も多いかと思います。また、様々なサービスがあったり、単純に紙の資料をスキャンするなど、選択肢も想像しやすいでしょう。

DX というと大仰に聞こえますが、一歩目はデジタル(電子)化です。

Phase.2 からは、少しそれらしくなっていきます。デジタル活用とありますが、Phase.1 で蓄積したデータを、活用していく段階です。

既存・新規システムにデータを蓄積できれば、それらをどう扱うかということを考えましょう。データの性質、量、使用の目的、法的な制限などを考慮しなければいけません。

このフェイズからはデータサイエンスの世界に入門する、とも言えます。

Phase.3 こそが、みなさんがぼんやりと捉えている「DX」の正体かと思います。

上記の通り、競争優位性を高めるために UX の最大化に取り組む段階です。

Web で見る記事や、そのために紹介されているサービス、プロダクトの多くは Phase.3 にフォーカスしているのではないでしょうか。

DX や UX という略称が現れていますが、データを活用してビジネスの成果につなげることがゴールであることは変わりません。

簡単にまとめると、以下のようになります。

Phase.1
アナログをデジタルに持ってくる段階
Phase.2
デジタル化されたデータを既存の業務の改善に役立てる段階
Phase.3
蓄積されたデータ、業務改善の知見から、新たなビジネスモデルを生み出す段階

AI でできることの例

では「AI」はどこに位置づけられるのでしょうか。AI が搭載された製品、サービスは主に Phase.3 で利用されます。

たとえば、Amazon は EC サイトとして、ユーザーのデータを大量に保持しています。このデータを使って、高精度なレコメンドを実装し、ユーザーの購買体験の向上を実現しています。

ここまでは他の EC サイトでも実現可能な AI ですが、Amazon のすごいところは、購買体験の向上をオンラインだけではなくオフラインでの購買行動にも適用したことです。

Amazon Dash を覚えていますでしょうか。Wi-Fi 接続されたボタンを押すだけで、そのボタンに登録してある商品を Amazon で注文できるというものです。


出典:File:Amazon Dash Button Tide.jpg – Wikimedia Commons

それ自体は単なる自動化の一種ですが、現在は音声認識 AI を搭載した Amazon Echo にその機能が引き継がれています。

本来であればスーパーマーケットやドラッグストアなどで購入されていた日用品が、家で手軽に注文できるようになりました。ボタンを押す必要すらなく、「あれ買ってきて」とお願いするのと同じように購入できるのです!

このようにして Amazon は AI を活用し、オンラインでもオフラインでもシェアを拡大しています。

さらにその技術力を活かし、Amazon Go という無人店舗をオープンしました。


出典:File:Amazon Go in Seattle, December 2016.jpg – Wikimedia Commons

「商品を持って店舗を出ると、自動で認識され、Amazon で決済される」という体験は、ユーザーにとって目新しいだけでなく「オフラインで手に入れたものはオフラインで決済する」という固定概念を書き換えています。

オフライン購入時のレジでのやりとりの煩わしさから開放されることは、まさに UX の最大化と言えるでしょう。

もちろんAmazon Go の店舗内では画像認識などの AI が活用されているでしょうし、店舗に置く商品の選定・配置を考える際には、今まで蓄積したデータが活躍しているはずです。

DX と AI の関係性

今まで見てきたように、AI というのはしかるべきタイミングと目的で使用してこそ効果のあるものだと考えられます。

また、いきなり使えるものではなく、目的に沿ってデータを蓄積、加工したのちに選択肢として現れるものということです。

最後に、DX の文脈で AI を使うときのポイントをまとめておきましょう。

  • 主に Phase.3 で活用される
  • 既存のビジネスからの発展をベースに、新しいビジネスを生み出す
  • 商品としての AI だけでなく、AI と一体化したビジネスが主流となっていく

道具として Excel や Word を使うように、AIはあくまで手段です。

DX を推進するときは、「AI 導入」をゴールにしてしまわないように注意しましょう!

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